戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

防衛大学校物語 第183 -都落ち、再起をかけて-

航空幕僚監部での勤務も2年が経過した。

腰が悪く、満足に仕事をする事が出来ず、この2年間、市ヶ谷でひっそりと隠れて過ごしていたようなものだった。

通常は、航空幕僚監部での勤務を終えると、飛行隊長など輝かしいポストにつくのだったが、ろくに活躍できなかった私の評価は低く、九州の司令部への異動となった。

上司を含め私の周りの人々は、私が腰に不安を抱えていることなんて気にしていなかった。

地方の司令部で一から勉強し直せ、という意味だった。

たった1時間半のフライトだが、座席に座っていられるのだろうか?

腰痛発生から2年も経過したが、それが私の正直な心境だった。

私は妻と小学1年生になる息子を連れて、福岡へ旅立った。

噂では九州は良いところと聞いていたが、実際に山や海などの自然と大都市が近い福岡は住み易いところだった。

九州の有名な観光名所のほとんどは家族で行った。

その間、筋トレにより少しずつ腰の状態も良くなってきた。

大好きなジョギングも再開して汗を流せることに喜びを感じた。

仕事も、部の学級委員長的な役割りを演じ、十分に職責を果たすことができるようになってきた。

少しずつ回復してきている。

私はそう実感した。