戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

防衛大学校物語 第180 -頑張れる日まで頑張らない-

米国勤務で得た経験を活かして航空幕僚監部の幕僚として活躍するはずだった。

しかし、腰痛という健康面の問題のため、仕事すらままならない状態になってしまった。

毎日なんとか出勤はできるが仕事にならなかった。

15分と椅子に座っていられないのである。

頭の中は自分の体の事でいっぱいだっだ。

名医の噂を聞けば都内の整形外科や鍼、マッサージなどあらゆるところに出かけていった。

腰痛は精神的なことが原因と聞けば、藁にもすがる気持ちで神経科に通いカウンセリングを受けたりもした。

しかし、原因は不明で、ますます悪くなっていくようだった。

電話で故郷の母親の声を聞いた時、思わず嗚咽が漏れた。

「お母さんごめんなさい」と。

両親は、私が防衛大に進み、戦闘機パイロットになったことをとても誇らしく思ってくれた。

私は両親が喜んでくれるからと、厳しいことも頑張れたのだ。

その自分が、いまや頑張ることすら出来ない状態になってしまったのだ。

そんな私に両親は優しかった。

腰が痛いので家ではほとんど寝て生活していた。

イモムシみたいだっだ。

今は頑張れない。

でもいつか体が良くなるかもしれない。

その時に頑張ればいい。

そう思いながら、毎日絶望の中にいた。