戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

防衛大学校物語 第202 -丹下段平-

鈍った体を鍛え直すため、ボクシングジムでも通いたいと思っていた。

ジョギング中に普段通らない道を進むと、怪しげな建物の横にでた。

そしてその窓に、「ボクシング練習生募集中」の貼り紙を発見した。

これは何かの縁かと思い、週末にその建物の前で待つことにした。

明日のジョーに出てくる丹下段平みたいなのが来たらどうしよう?と不安になりながら待っていると、責任者が現れた。

見た目は、まさに丹下段平だった。

年齢は60代か、雪駄を履いた。

見たこともないような古いジャージを着ていて、その胸には「闘拳」の刺繍が施されていた。

いったいどこでそんなジャージを売っているのだろうかと思った。

兎にも角にも、その責任者に、ボクシングに興味があり、ここにやって来たことを伝えた。

実はそのジムは、沖縄県のアマチュアボクシング協会の施設で、付近の高校ボクシング部の学生たちが週末に集まり、スパーリングなどを行っているということだった。

責任者は私の入部を快諾してくれた。

こうして、私は毎週末、高校生に混ざってボクシングのトレーニングを始めることになった。

シャドーをやったり、サンドバックを叩いたり、時には外のロードに出たりした。

年齢的なことからスパーリングは行わなかったが、トレーニングで汗を流して、それなりに楽しい時間を過ごした。

入部してだいぶ月日が経った頃、その丹下段平がとんでもない人だったことが判明した。