戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

防衛大学校物語 第34 -居眠り病 -

普通の大学生ならカリキュラムに余裕があり、自由な時間をアルバイトやサークル活動に費やすことができるのだが、防大生は、毎日びっしり授業があり、教場に行かなくてはならない。

これは義務であり、ずる休みをすることは許されない。

そうなると、つまらない授業や関心が薄い授業では、居眠りする者が続出する。

とにかく、防大生は授業でよく寝るのだ。

数百人が入る講堂で、ある授業が行われていたが、ステージ上の講師が一人で黙々と話しているのとは対照的に数百人の学生全員が寝ている光景は、もはや大量催眠術にかかったような有様だった。

国文学の授業では、あまりにも学生が居眠りをするので、教授が居眠りをしている者を見つけてはものすごい剣幕で叱責する。

一説によると、昔、その教授が授業中に心臓発作になっても、全員が居眠りをしていたため、教授の異変に気付くのが遅れ、危うく命を落としかけたそうだ。

それ以降、国文学の教授は、自分の命を守るため、防大生を居眠りさせないようにしているという噂があった。

皆、防大生だけの特別な病気ではないか?とさえ思っていた。

しかし、タイ王国軍からの留学生も居眠りしていたから病気ではないらしい。

昼食がカレーライスの日の午後の授業は爆睡だった。

夕方、授業が終わり、アメフトの部活動が始まる前になると、体がシャキッとした。

さあ、部活がんばるぞ。