戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

防衛大学校物語 第83 -沖縄美人-

幹部候補生私卒業した私たちは、半年後に幹部自衛官に任命される。

その前の「隊付教育」として、1か月半、全国の部隊に分かれて研修を行う。

私は、同期のF候補生とともに那覇基地の飛行隊で隊付教育を実施することになった。

お世話してくれたのは、航空学生出身の若いパイロットKとFだった。

年齢は私たちと同じだったが、すでにF-4戦闘機のパイロットとしてスクランブル任務に就いていた。

パイロット手当をもらっているのでその2人のお金の使い方は豪快だった。

私たちを国際通りの居酒屋に連れて行ってくれて、メニュー表の端から端まで注文してごちそうしてくれた。

那覇基地売店に厚生課のKさんという沖縄美人が勤務していた。

私は用もないのにKさんを見るために頻繁に売店で買い物をした。

演習時に私たち幹部候補生は基地内の警備を担当させられた。

建物の前でヘルメットを被って、木銃を持って立っているだけである。

しかし任務で買い物ができないこのような隊員のために厚生課の移動売店がやってくる。

沖縄美人のKさんが移動売店の担当で来るときは、真っ先にお菓子などを購入した。

私は1か月半の間、飛行隊の若い整備員と2人部屋だった。

U士長は細身に色黒で、沖縄出身らしくおとなしい性格だった。

だんだん気心が知れてくると、若い者同士、いろいろな話をして親交を深めていった。

そんなU士長から自衛隊を辞めようかどうか迷っていると告白された。

自分の進むべき道に悩みを抱える気持ちは私にもよくわかった。

隊付教育を終え、那覇基地を去る私にとって、U士長のことが少し気がかりだった。