戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

防衛大学校物語 第51 -待ち構えるトニー先輩-

千歳基地での部隊研修は実際の現場の中に身を置いて行うためとても新鮮だった。

戦闘機のスクランブル発進する待機所でパイロットたちと一夜を過ごした。

スクランブル発進した戦闘機が天候悪化のため千歳飛行場に帰投できない。

他の飛行場に行かせるかどうかなど、指令所との緊迫したやり取りが続く。

その間、どんどん燃料が減っていく。

パイロット志望の私にとって飛行隊での研修は充実したものだった。

お世話になった防衛大出身のパイロットに「ズー」1尉と「トニー」2尉がいた。

もちろんこれはタックネームと言ってパイロット同士が上空で呼び合うニックネームである。

ズーは、札幌にある丸山動物園から名づけられたと教えてくれた。

若いイケメンのトニーは新婚で、奥さんは元JALのCAだった。

どのようにして知り合ったのか聞いてみると、その答えが面白かった。

HOTEL日航のバーで網張ってたんだよ」って。

当時、千歳基地の正門の近くにHOTEL日航があった。

その目の前にあるコンビニに泊りのCAがよく買い物に来ると噂になっていた。

目黒い靴を履いているのですぐにCAだとわかる。

トニーはコンビニどころかそのHOTEL日航の地下のバーで「網を張っていた」らしい。

防大卒のイケメン戦闘機パイロットは無敵だと感動した。