学業および訓練成績の優秀な者は、「学生長」という役職に指名される。
「学生隊学生長」は全学生約1600名のトップであり、生徒会長のようなものであった。
その下に大隊学生長、中隊学生長、小隊学生長がある。
中隊学生長以上は、本当に優秀な者がついていた。
私は、4年生の1学期に3年生を束ねる小隊学生長に選ばれた。
1年生の小隊学生長は責任重大であるが、私が選ばれた小隊学生長は最もイージーな学生長だった。
しかし4年生のうちの3分の一は何の学生長にも選ばれないので、選ばれるだけましな方だった。
実際、3年生に対し指導することは何も無かった。
最初の訓示で「くれぐれも事故(悪いこと)を起こさないように!」と一言っただけだった。
あとは自由にさせていた。
それどころか、自分自身の生活態度が酷かった。
夜の自習時間中は机に向かって勉強をしていなければならない。
私は、机の引き出しにいつも「いいちこ」と「カルピス」を隠し持っていて、自習時間が始まると自分で「焼酎カルピス割り」を作って飲んでいた。
「自習前段終了」の放送がかかり、廊下に出ると、もう出来上がっていた。
配下の3年生より先に4年の小隊学生長が「飲酒事故野郎」になるところだった。
どうしてこんなにいいかげんなのか?
もっとしっかりしていたら、もっと出世しただろうに。