4年の夏季定期訓練は、前半がレーダーサイト部隊研修、後半が実機に搭乗して行うパイロットの操縦適性検査だった。
しかし、学業および訓練成績優秀者のみは、前半は部隊研修ではなく、特別に沖縄研修に選ばれる。
私は4年になるまでの間、アメフトだけを一生懸命にやって、学業や訓練は落第しない程度にやっておけばいいと真剣に思っていた。
この時、初めて沖縄研修に行きたいと思った。
沖縄自体に興味もあったが、優秀者のみが特別扱いを受けることに興味を感じた。
このため1学期の間、私は成績上位になるため学業や訓練に努力を注いだ。
結果、私は成績上位者のみが参加する沖縄研修に選ばれた。
那覇基地での部隊研修の内容はよく覚えていない。
しかし、北国育ちにとって那覇の強烈な日差しやエメラルド色した海は刺激的だった。
史跡研修としてさまざまな観光地を訪問したり、休日には皆で本島中部にあるビーチに行ってはしゃいだ。
他の同期生たちは、僻地にあるレーダーサイトで研修していると思うと優越感を覚えた。
後段は、いよいよパイロットになるための操縦適性検査を受ける。
高校3年時に受験し、不合格となった操縦適性検査である。
一度、検査に落ちた者はもう二度とパイロットになれないのかどうかも分からない。
視力など身体適性だけは維持するようにこの4年間、気を付けてきた。
とにかく、全力で検査に臨むだけだった。
その結果は、防衛大を卒業後、幹部候補生学校での課程が終わるときに判明する。