基本操縦課程で搭乗する航空機は曲技飛行を行うブルーインパルスと同じT-4練習機だった。
先輩コースのK候補生がソロフライトの時やらかした。
教官が同乗していないことをいいことに、ずっと訓練空域でブルーインパルスの曲技飛行のモノマネをやっていたのだ。
なぜそれが発覚したのかというと、その時K候補生は、不覚にも機体の制限荷重を超えてしまったのだ。
K候補生は潔くオーバーGになったことを報告し、直ちに帰投した。
T-4練習機にはVHSの録画機能が付いている。
着陸後、教官からどこでオーバーGをしたか、ビデオを見せるよう要求された。
ビデオにはK候補生がブルーインパルスになったかごとく一人でアクロバットの真似をしている様子がバッチリ写っていた。
「Four point roll ready ....now!」という具合に。
もちろんK候補生は教官から大目玉を喰らうことになった。
T-4練習機は全国の飛行隊にも配備されていて、ブルーインパルスの真似をしたくなるのがパイロット の性というものだ。
しかし、ブルーインパルスのパイロット は決して自分達のアクロバット飛行のやり方を他人に教えない。
見よう見まねでやると大きな事故につながる恐れがあるからだ。
H候補生は命拾いしたのかもしれない。