戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

防衛大学校物語 第143 -自分の結婚式に行けないかも-

大勢の来客を招待して行う結婚式がどうしてもイヤだった。

たいして優秀でもないのに上司が「○○君は職場で大変優秀で...」と盛って紹介され、本当を知っている仲間から失笑されるのがたまらなくイヤだった。

という訳で私たちは親兄弟だけ参加してもらうハワイでの海外挙式をすることになった。

海外挙式の準備は順調に進み、出国一週間前になったある日、事件は起こった。

当時自衛官が海外旅行に行くためには1ヶ月前まで海外渡航申請を提出しなくてはならなかったのだが、私はこれを完全に失念していた。

最終的に基地司令の承認が必要になる。

隊長に相談すると何とか上に掛け合ってくれるという。

しかし、数日後隊長は私に承認が降りないかもしれないと申し訳なさそうに言う。

基地の副司令がそんないい加減な幹部に承認は出さない!と息巻いているというのだ。

この時、私は自分の人生の一番大事なイベントを組織に制限されるのであれば、無断で渡航して結婚式を行い、帰国後、自衛隊を辞めようかとさえ思っていた。

結局、基地の様々な人の尽力によって副司令は渋々、承認を出してくれた。

この辺りから、ちょっと自分は他の人と違う間抜けな所があるのを自覚するようになった。