戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

防衛大学校物語 第145 -はじめてのお使い-

飛行隊に配属されて3年経つが、F-4の前席転換訓練はまだ始まらない。

操縦の感覚を忘れないように若手は練習機の前席で時々飛行訓練を行う。

その際、ある登竜門となる訓練がある。

それは、入間基地にいる要人の送迎のため、三沢基地から入間基地の間を一人で操縦するミッションである。

しかし、入間基地に着陸するためには米軍の横田管制区を通過しなければならず、この米軍管制官とにかく早口で聞き取りにくいのである。

英語が得意なパイロットは米軍で飛行教育を受けたごく一部のパイロット だけである。

入間基地まで操縦したことがある先輩から情報収集をする。

しかし、その先輩の英語もいい加減で、「横田管制官は、ヨコタとは発音せず"ダコタ"と言うので気をつけろ」とガセ情報を流すのである。

このため、初めて若手が米軍管制官とコンタクトする際、日本語英語て「ダコタ アプローチ」と自信たっぷりに送信する。

もちろん、米軍人はダコタなんて発音しない。

どちらかと言うと「ヨコラ」に近い発音である。

兎にも角にも、色々やらかしながらも無事、若手パイロット は三沢に帰ってくる。

パイロット版はじめてのおつかいである。