戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

防衛大学校物語 第216 -新しい趣味のギターに挑戦-

単身赴任生活の週末はヒマである。

夜に飲みに行くぐらいしか楽しみは無い。

そこで、週末にブラッシュアップを兼ねて、英会話スクールに通うことにした。

英語は日常会話くらいなら十分イケるが、得意な英会話ならば無理なく続けることができると思ったからだ。

英会話スクールでは新しい仲間と出会えてそれなりに楽しかったのだが、1年もたつと少し飽きてしまった。

そこで、今までやったことの無い趣味に挑戦してみることにした。

ギター教室に通うことにした。

子供のころから、少年野球など運動ばかりしていた自分にとって音楽は未知の世界だった。

音楽をやっているようなヤツは不良だ、くらいにしか思っていなかった。

もし、楽しくなければすぐに辞めるつもりでYAMAHAの初心者用ギターセットを購入してギター教室の門をたたいた。

週に1回、30分のマンツーマンのギター教室である。

四十の手習いとはまさにこのことだった。

はじめは、ド、レ、ミ・・・を弾くことから始まった。

慣れない楽器演奏、特に指の痛さには閉口させられた。

ナチスの拷問を受けているような指の痛さだった。

悪戦苦闘しながらも、毎日、毎日、官舎のギターの練習をした。

少しずつではあるが確実に進歩しているという達成感とギターの音色が心地よかった。

毎日、毎日、部屋でギターの練習をした。

週末は、朝から夜まで部屋でテレビを見ながらずっと弾いていた。

まるで「耳なし法一」が悪霊から逃れるために琵琶を弾いているかのようだった。

実際、自分のキャリアに関して悩みがあった。

ギターを奏でている時だけ、その悩みから解放された。

こうして、趣味のギターにどんどんはまっていくのであった。