戦闘機パイロットの夢を追いかける青春物語

戦闘機パイロットになる夢を追いかける青春物語

2022-01-01から1年間の記事一覧

防衛大学校物語 第10 -青春の甘酸っぱさー-

高校の卒業式が終り、次第に防衛大着校日が近づいてきた。 これから刑務所のような生活が待っているのだと思うと、最後に楽しんでおかなくては、と強く思うようになっていた。 そうなると男子は単純なもので、中学時代のクラスメートだった女子を誘って夜の…

防衛大学校物語 第9 -受験よりもスキージャンプ-

3月に国立大学2校の2次試験受験のため、地元から特急列車で1時間半のところにある大きな街に向かった。 先述のとおり共通1次試験で点数は取れていなかった。 だから1校目は、真面目に受験したが、2校目の有名国立大学は受験会場すら行かなかった。 受…

防衛大学校物語 第8 -合格のご褒美はタバコ-

1月に入ると共通一次試験を受験した。 この時点で、防衛大入試の合否は出ていないので、全力で取り組む必要があった。 しかし、共通一次試験の結果はあまり良くなかった。もう、心はすっかり防衛大が第一志望に傾いていたのかも知れない。 共通一次試験の自…

防衛大学校物語 第7 -恐怖の防大2次試験-

防大1次試験は地元の陸上自衛隊駐屯地で行われた。 共通一次試験レベルだろうか、オーソドックスな出題だった。 1次試験を無事突破した私は、次の2次試験に進んだ。 2次試験は地元より大きな街の陸上自衛隊駐屯地で行われた。 この時、隣のクラスのN君と…

防衛大学校物語 第6 -高校生 空を飛ぶ-

高校3年の秋、航空自衛隊の「航空学生」の試験を受けた。 1次試験の学科、2次試験の身体検査など順調にクリアし、3次は実機で行う操縦適性検査だった。 まず地元から特急列車で2時間ほど離れた航空自衛隊の基地に独りで行き、その日は米軍駐留時代の忘…

防衛大学校物語 第5 -早く脱出しなければ-

高校3年の夏、大学志望校を担任と相談する2者面談が行われた。 その時、母は担任に私が防大を受験すると伝えると、担任は「本当に行くの?」と怪訝そうな顔で言ったそうだ。 担任は、私が1年の時に退部した野球部の監督だった。 私のようなおっとりした性…

防衛大学校物語 第4 -防衛大受験を宣言-

防大受験をクラスの親友に告白した日のことをよく覚えている。 T君は、数学が得意で数学の点数が伸び悩んでいた私に対し、よく放課後の図書館で「家庭教師役」を買って出てくれた。 ある日の午後、私とT君は、学校から帰る途中に新緑が芽吹く河原の土手に座…

防衛大学校物語③ -絶対行きたくない-

高校2年になると、防大には絶対行きたくないと思うようになっていた。 当時私はバイクが好きでたまらなかった。 私は夏休みに母が務めるスーパーでアルバイをして中古の50㏄のバイクを買った。 尾崎豊を聞きながら、地元から遠い海の見える町まで50㏄のバイ…

防衛大学校物語 第2-防大志望の動機-

防大への進学を薦めたのは父だった。 近くに陸上自衛隊の大きな駐屯地があり、近所には自衛官がたくさん住んでいた。 「自衛隊さん」と呼ばれ、子供のころから自衛隊は身近な存在だった。 しかし、当時の自衛隊に対する社会の見方は今とは若干違っていた。 …

防衛大学校物語 第1 自分の半生を振り返って-

ギャンブルとは無縁な性分であるが、自分の人生を競馬のレースに例えると、もう最終の第4コーナーを回り切ったというところだろうか? とんでもない奇跡が起こらない限り、すでに勝負はついているのかもしれない。 それでも、少しでも順位を上げたいと思うの…